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女の子は少し不機嫌になりながら言葉を続ける。
「……まあそうだな。擬態を見せられたら、物の怪の類と同類に思われるが違うと言っておこうか。さて話を戻すぞ、一般的に幼子が自我を持てば物の怪の類は薄れて行って言葉が喋れるようになる頃には見えなくなる子が殆どだけれども、稀に見えてしまう子がいる。そう言う子はどうなるか知ってるか?」
想像がつかない。
これが日常だったからずっと続くものだと思っていたから返答が出来ない。
「答えは”憑りつかれる”だ」
「私が私ではなくなるの?」
「それは分からん」
「はい?」
返ってきた言葉に驚くとようやく女の子は私に顔を向けた。
「その物の怪の気質にもよってなんだよ。人を喰らう物、人を操る物、人を寝床にする物。簡単に答えても3つも出てくるから”分からん”と言った」
「このまま何もしなければいつかは”憑りつかれる”かもしれないの?」
「そうそう、分かって貰えてよかった」
「実感がまったくない」
「だろうな、今まで見てきた世界が敵に周っているなんて普通気づかないものさ」
「でも、なんで年齢が関係あるの?」
「ああ、美味しく食べれる年齢と言えば良いのか?適齢期?」
「食べられる側にしては嫌な言い方」
「はは、さてお前さんは食べられる側のままでいるか?」
女の子は私の顔を覗き込むようにして聞いてきた。
答えなんて無いと分かっているのにと私は答えた。
「私は食べられたくない」
そう言うと女の子は優しく笑った。
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