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女の子は納得したように声をあげながら頷き答えた。
「この姿で長い間電車に乗って都会まで行っていたが、一度も怪訝な目で見られて事が無かったから、怪しまれるとは思いもしなかった。……それに」
「それに?」
「子供料金って知っているか?」
「え、もしかして電車料金を浮かせるために?」
私が確信の迫ろうとした時、女の子は満面の笑顔で誤魔化しながら改札を駆け足で出ていくを私も慌てて追いかけ、ほぼ無人の改札を出た切符売り場に少女が待っていた。
「遅いなー」
「急に走り出さないでよ」
私の発言に女の子は小さく笑い私の横に近づき右手を上げ山の方へ指をさした。
「私の家の方角だよね」
私は駅の位置から周囲を確認しながらいうと女の子はまた小さく笑いながら答えた。
「半分正解で半分不正解」
「半分」
「ドーラの家も同じ方向だ」
「あーなるほど……」
昨日の鈴の音が12時に私の耳に届いたのが納得できた。
同じ方角なら駅から見れば私の家の奥は山でありそこから降りて来たのなら、
十分12時を回った時点で聞こえて来ても、何らおかしくない程に近い場所に少女の寝床が有るんだとわかる。
「あれ?今なんて言った」
何か引っかかる言葉を聞き覚えのない言葉を聞いた気がし私は女の子に聞き直す。
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