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「本当に大丈夫よね?私騙されてないよね?食べられないよね?」
「あ、安心しろ。騙さないし食べないし、物の怪に見えても元来ドーラと奴は人なんて食べんよ。約束するからまずは落ち着け」
私が感情的にドーラに詰め寄るとドーラは焦りながら私の頭を軽くなでる。
その柔らかいブヨブヨが私を落ち着かせてはくれるが、不安と疑心はそうそう解ける物では無い。
「ウー……!」
「犬ころのように威嚇するな。これでも食って落ち着け」
「え?」
ドーラはスカートのポケットから透明包装された黄金色をした物をとり出し指先で弾くように私の口に入れ開いていた口を反射的に閉じてしまい焦ったが直ぐに甘味が口いっぱいに広がる。
「はは、どうだ。甘かろう?」
「……飴だよね?うん甘い!普段なめている飴とは違う」
「”奴”のお手製だ」
「その”奴”さんて何している人なんだろ?」
「それを作ってるんだ」
「飴を?」
「飴だけではなくてお菓子類全般かな?それを町まで行って卸して生活してる」
「なんでそんな人目に付くようなことをするの?」
ドーラ自身の正体を態々見せつけに行くようなことをなんでするのかと、私が聞くとドーラは人差し指をこめかみに当てながら答えた。
「食べ物や金品に不自由は無いから暇潰し、かな?」
「え?暇な人なの?」
「はは、会ってみればわかる!行くぞ」
ドーラは笑いながら私の手を引きドーラの寝床へと歩き出した。
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