見える子と魔女と■

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05   前の家から持ってきた自転車なら17分程度で駅から住んでいる家まで着くけれど、ドーラは自転車を持ってはなく。仕方がなく自転車を押そうとすると、ドーラは私の前に立ちハンドルを引っ張りながら「座ってろ」と言われ私は椅子へと座りはしたが、足で地面を蹴りながらドーラの寝床へと私達は駅から民家沿いを山へと歩くはじめた。  ドーラの後ろ姿を見ながら私に住んでいる町の歴史を聞かされ気が付いた時には、私が住んでいる家を通り越し森林が増え、昨日ドーラたちを見かけた道を抜け山道へと差し掛かった頃にドーラはハンドルから手を放した。 「ここから入るぞ」 「?」 「どうした?」 「道ないよ?」  そう急に立ち止まったりドーラが指を向けた場所は道なき森林が生い茂っている山だった。 「あー忘れてた」とドーラが言うと左手で指をパチンと鳴らした。 「……何かしたの?」  ドーラが指を鳴らしたのに何も変化がなく私は自転車におり何が起きたか分からず聞くと、ドーラは肩を落とした。 「アイツ寝てるな……」 「寝てる?”奴”さん」  ドーラは「ああ」と困った顔をしながら、私に少しここに居てくれ言われドーラは森の中へと歩き出したのだが、森へ入った瞬間にドーラの姿が消えた。  驚きながら私は消えた場所へと近づき手を伸ばしたが、私は消えること無く何も変化がなかったことで、ドーラが物の怪の類だと再確認してしまい恐怖が再度やってきた。
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