見える子と魔女と■

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「逃げるなら今か?!」 「聞こえてる聞こえてる」 「え?」 「逃げても良いけれど。その代わりお前さんは憑りつかれるぞ」  ドーラのその忠告にも似た言葉だけで私は緊張し体を硬直させると、ドーラは笑いだしながら先ほど消えた場所から4m離れた場所から音もなく出てきた。 「すまん。これで森の中に入れるはずだ」  さっきまで森林だった場所にゆっくりと山道が浮き上がってきたことに私は怖気付きながら聞く。 「ねえ、ここに入らなくちゃダメ?」 「どうした?」 「姿が消えるなんて考えもし無かったし、私の体憑りつかれる前に壊れたりしない?」 「……ーーあー、ドーラが森の中に入った時に姿が消えたように見えたもんから、その森の中に入るなんて体に害はないのか心配しているのか」 「そうそれ!」 「安心しな。さっき結界内に入ったから消えたように見えただけだ」 「結界て……ある範囲を守るあれ?」 「その結界だ。侵入者から目を欺くために道を消しているんだが。”奴”が寝ていたせいで結界が解除できんかったから今なら入れるぞ」 「本当に平気なんでしょうね?」 「平気平気」  ドーラはまた私の手を引き肩幅くらいしかない山道を歩き出す。 前へ前へと歩くが一つ気になる事があり後ろを向くと来た道が森林と同化し何時しか道が消えていく。  不可思議な事に目を奪われながら私は歩きながらたどり着いた場所は小さい神社だった。
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