見える子と魔女と■

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「エルシィ何処へ行っていたんだ?」 「ドーラ。さっき起こす為だけに、私にしたことを思い出しなさい」 「はぁ……。一度は声かけたが反応せんかったから、顔を飲み込んでみた」 「!?」  聞きなれない言葉に驚く。  ドーラは人を食べないと言ったが人を飲み込んだ事実に私は内心焦った。 「あれ止めなさい!顔じゅうがベトベトになって水で流すのにたいへんなの!」 「エルシィが起きないのが悪い。咥えるレベルの事をしないとお前さん起きんじゃないか?」 「唾液が濃すぎて中々取れないからせめて違う起こし方して」 「ふん、お前さんが素直に起きればこんな事にならんよ」  遠目では姉妹喧嘩のように見える光景なのに会話がどうも物騒で現実から離れていて、 私はただ見守るだけしかできなかった。 「それよりもエルシィ」 「話を変えないで!」 「お前さん、周り見えんすぎな」  ドーラが呆れたように私に向かって指を指すと、ブロンド髪の少女ことエルシィは目線を動かし私を認識した。 「……貴女(あなた)だれ?」 「エルシィを起こしにきた時に言っただろ。困ってる子がいると」 「あー確かに聞いたかも……あれ昨日の子?」 「そうそう昨晩ぶっ倒れた子だ」  私を認識はしてくれたが話は勝手に進んでいく。 「そんな子をなんで連れて来たの?」 「偶然乗っていた電車に会ってな。話し込んでいたら困っていると聞いた」 「なんで話しかけなければいいのに、わざわざ厄介事を持ち込んできたの?」 「この辺の子だからな。助けんわけにもいかんだろ?」 「それはそうだけれど、電車の中の事ならこの土地の守備範囲外じゃない。だから……」 「――だからではない。見てやれ」  エルシィは子供のように駄々を捏ねながらドーラの言葉に納得はしていない顔を見せながら私の目の前に立った。 「手のひらを見せて」 「――はい!」  何をされるのかとビクビクしながら私は掌を差し出すと、 エルシィは何かを呟くように唇を動かしながら手を包むように私の指を触れようとした瞬間。  白い光が部屋中に爆発するように散り、私が何が起きたか分からず驚き顔を上げると、エルシィは不快な顔を見せ小さく呟いた。 「――呪い」
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