見える子と魔女と■

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 エルシィの何も包まない言葉に私は息が出来ず、とっさにドーラを強く抱きしめ過ぎてしまい「グエ!」と見た目とは掛け離れた鳴き声を上げながら、ドーラがようやく目を覚ました。 「グルジィ……」 「ごめんなさい!」 「はいはい。今、紬の話を聞いているから、気絶していたドーラは空気を読んで人形のふりをしていないさい」 「気絶!気絶していたのか?!ならドーラに対してもう少し気配りしろ!空気なんて読めるか!」 「うっさい、今重要な所だから黙っていて!」  エルシィはドーラの大きく開いた口元にお菓子を投げ込むと、私の膝の上で喚いていたドーラは急に大人しくなり口の中をモグモグし始めエルシィはため息交じりに仕切り直した。 「話を戻すわね。紬、その隣人とはどんな関係だったの?」  ドーラとエルシィのやり取りに私は気が緩んだように笑いながら、隣姉ちゃんとの最後のやり取りを思い出す。ゆっくりとゆっくりと緩やかに時間をかけて思い出しながら、あの日の最後の会話をエルシィに言った。 「私を嘘つきなんて言う子には「魔法使いにしちゃうんだからね」と言われてから見えるように」 「あー……」 「「あー……」てなんですか?」 「ただの呪いじゃなかったのね……。その嘘つきが紬に呪いをかけた張本人と考えるのが妥当で困っているの」 「??」  話の流れから隣姉ちゃんは何かしらの(カギ)を握っているとは思っていたが、それに対してエルシィが頭を抱えているのが私には理解が出来なかった。 「エルシィが困っているのは、ただの呪いじゃなく、お前さんがお手つきだったて事さ」 「お手つき??ただの呪いとは違うの?」  補足するようにドーラが答えたが私には何を言われているか分からずに居ると、エルシィは紅茶を飲みながらボソボソと喋り出した。 「呪いにも種類があってね。その一つに気に入った子や才覚がある子に力を育てる為に、わざわざ呪いをかける(バカ)が居るの。強くなれば自分の力になってくれるから古典的な方法を現在に見るとは思いもしなかったわ」 「だから、どうして困ってるんですか?」  どこか投げやりな言い方をしたエルシィに私は首傾けると、ドーラも溜息を吐きながら答えた。 「分かりやすく言うとお前さんの呪いは契約の呪い。呪いをかけた本人以外が勝手に解くと「宣戦布告」と見なさるからエルシィは困ってんだ」 「え?」 「紬、考えてみなさい。人の物を取ったら誰でもいい気分にはならないでしょ?」 「それは、そうだけど私いつから所有物に」 「嘘つきと言った日からじゃない?」 「そんなー」
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