碧の声

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碧の声

00  ドーラ、エルシィと出会った翌朝。  私は学校へ向かう電車の中で、当たりまえのように人が乗車してくる光景に、昨日の出来事すべてが夢だったのではと頭を過ったが、ドーラからもらったベルを手にし夢ではないことを確かめても、それでもどこか実感が持てず、私はぼんやりと流れる景色を眺めていると、見覚えのある景色が見え、気が付いた時には下りる駅についていた。  私は慌てて電車を降り、改札を出ると自転車や歩いている生徒が学校へと向かっている姿が見え、私もその流れに乗るように学校へと向かった。  教室へ入ると男女数人のグループが既にできて昨日とは違い賑わっていた。  私は席に向かう中で聞こえる話の内容から中学校の繋がりや部活での繋がりなのだろう。そのグループを通り過ぎ、席へ座ろうとした時に声が聞こえ振り返ると、昨日声を掛けてくれた子だった。 「お、おはよう」 「あ、うん。おはよう」  彼女は目線を外しながらではあったけれど、私に挨拶をしてくれたのに素っ気なく返事を返してした。昨日と同じことを繰り返してしまい会話は続かず気まずいまま私は席へと座る。こんな態度を取るつもりはなかったのにと反省しながら、教師が来るまで黒板を見つめたり窓から差す校庭を見たり教室のドアを見て凄しながら、私は心ここにあらずで学校生活一日目がスタートした。
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