碧の声

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 SHR後、各科の教師が教室へとやってくる。  初日とあってか、授業ではなく科目を受け持つ教師の自己紹介と今年度習う授業内容を説明をした後生徒たちに質問を聞く形式が科目ごとに続いた4時限目、教師たちの講義に慣れてきた時ふとエルシィの手伝いは何時からやるんだろうと気になり、帰りがけ社に聞きに行こうと考えながら 授業という名のオリエンテーションが終わり4時限目の終了チャイムが鳴った。 「今日はここまで、明日からよろしくな」と教師が教室を出ると、緊張の糸が切れたように生徒たちが一斉に声を上げる。まあ先日まで春休みで気が緩んでいたから緊張もするだろう。私はほぼ使わなかったが教科書とノートを机の中へと入れる。  さて、お昼休み=昼食となる。お弁当なんてものは自身で作らない限り現物はなく、持ってきてない私は必然的に食堂にお世話になるしかない。そう考えると親のありがたみが少しはわかってくる。  私はバッグから財布を取り出し椅子から立ち上がると、真後ろからびっくりした気配に気づき振り向くと、後ろの席の子がそわそわし私を見つめてきた。何か用かと思ったが彼女の手に持っているものを見てそわそわしている理由が分かった。 「お弁当?」 「あ、うん」 「私こっちに引っ越してきたばかりで作る暇なくてさ、今日は食堂なんだ」 「そう、ですか」  会話が続かない。  それほどに人見知りなのだろうか。さっきまで見つめていた視線は弁当箱へと向けられ、私は「行ってくる」とだけ伝え席を立ち、お昼の時間ギリギリまで食堂へ時間をつぶしながら午後の授業へ進み今日一日の授業が終わり社へと向かった。
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