碧の声

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01  学校が終わり私は一目散に帰宅し服から普段着に着替え社へと向かう。  住宅地が段々とすくなくなり森林が目につきだした頃、私はなんの脈絡もなく空を見上げた。  そこには雲や青い空ではなく、何処となく薄紫が掛かっているガス状の気体が浮いていることに私は気付き、すぐにそれが見えてはいけない物だと察し走り出していた。  焦っていたのだろう。  社に向かっていけばよかったのに走ったさきは社とは違う山道だった。  息をあげながら振り返るたびに、その気体はどんどん距離をつめてきた。  以前からみてきた物とは違い物に私は焦りが増大し足元が不安定になり運悪く(つまづ)きガス状の物が近づくいて来たとき、カバンにかけていた鈴が奇麗な音色でなると共に、強い風が吹き私は目をあけ空を見上げる。  そこには雲の隙間からまるで本で見たような灰色の塊をした龍の手を目にした。 そして、その手はガス状の気体を握りつぶし消え去り、灰色の塊の手も雲が晴れるようにゆっくりと消えた。 「……いまのなに?」  一瞬の出来事に混乱する私の後頭部にブヨブヨした物に2回触れられた感触に顔を後ろへ向けるとドーラが立っていた。 「っよ!」 「……よう」  私が知っている丸っこいドーラが、手をあげ挨拶をする姿に私はまだ冷静にはなれず混乱し続けている。 「雲に消えた、灰色のあれなに?」 「ドーラの手だが?」 「え?色が濃かったよ!」 「ドーラ、もともとの色は濃い灰色だからな」 「そ、それになんかすごいサイズ感だったよ?恐竜サイズだよ!ドーラのプヨプヨサイズじゃないよ!」 「緊急だったからデカくなって潰した」 「一言で片づけられるサイズじゃなかったよ!私が動物園で見た像より確実に大きいって本体どれほどなの?!」 「そう混乱するな。緊急だって言ったろ?普段は大きくならんから安心しろ」 「安心しろと言われても私が取り乱してい事とはちがーう!」 「んー落ち着かんみたいだし、社で話そうか」  そうドーラに諭され私は社に向かった。
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