碧の声

4/12
前へ
/48ページ
次へ
02  社に前に着くとエルシィが目を細めて立っていた。  私達が近づくにつれどんどん表情が険しくなりエルシィの目の前に立つと感情を素直にぶつけてきた。 「ドーラあなた無駄に大きくなったでしょ!」 「ああ、相手が気体だったから大きくなって潰した」 「だからって、そう簡単に大きくならないの!周囲に結界張らないと見えちゃうでしょ!」 「仕方ないだろ。(こやつ)呪われているんだし」 「え、呪い関係あるの?」  急に会話の矛先が私に向き驚いた。 「あるぞ。呪いのせいで物の怪の類が寄り付いてきやすくなる。それに、この辺のは悪さはしないが物の怪多いから興味本位で来る」 「そんなこと昨日聞いてないよ。せっかくこっち引っ越して来たのに、回数増えちゃんだ……」 「メガネのお陰で小物は見えないようだけれど、解けるまでは覚悟しておけ」 「聞きたくなかった。……親と一緒に海外に逃げればよかった」 「凄い逃避行ね。でも”嘘つき”はついてくるわよ」 「あ、昨日も言ってましたよね。その嘘つきって隣姉ちゃんの事ですよね?どうして嘘つきって言うんですか?」  私はエルシィに昨日言われて気になった事をきくと、さも当然のような表情をし答えた。 「それはそうでしょ?魔法使いにするって呪いをかけたままにする奴なんて、ただの嘘つきでしかないわ」  私が最後に隣姉ちゃんに言った言葉が証明された事に喜んで良いのか分からない心境だった。 「それより紬ケガはない」 「あ、躓いただけなので、かすり傷は無いけれど制服が汚れちゃって」  私が薄紫のガスに追われを躓いたとき膝を地面につけた場所が茶色い跡が残っているのをスカートを広げて見せた。 「なら(うち)で洗濯しな!」 「?」  ドーラの力強い言葉に違和感を覚えるとエルシィは困った顔を見せ私に答えてくれた。
/48ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加