碧の声

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「どうして項垂れるんですか?」 「あの鈴ね。魔除けの他にも紬が恐怖心を感じた時に、その感情を感知して私達に知らせてくれる物なんだけれど、まさか早々に鈴から呼び出されると思っていなかったわ」 「どういう意味?」 「危険が迫ると鈴が鳴る仕組みと言えば良いかな」 「え?」 「それはそうでしょ。弱い奴から魔除けで近づかないようにしても、近寄ってくる奴が一定数いるから反応しないようにしないと、リンリンシャンシャンって鳴りやまないし対応しきれないからね」 「え?”物の怪”ってそんなに数が……」  物の怪について知りたくなかった真実に近づきドーラが隠すことなく真実を突きつけた。 「普段から見えていないだけでかなりの数いるぞ。紬が考えている倍以上は」 「!!」 「だから、私達が間に入らないと危険な物だけに反応するように仕立てたんだけれど、まさか1日で寄ってくるなんて予想よりも呪いが強いことに驚いたの」 「でも、いままで、こんな事!」 「あれじゃない?人口密度の差で上手く回避していたのかもしれないわね」 「……私、やっぱり都会にいた方が良かったんだ」  自身で何を口走っているのかもわからない程に動揺し悲観的な感情が押し寄せてくるが、私の気持ちを落ち着かせようとしてくれる。 「未来に起きる事を今から心配しても仕方がないから、問題が起きたその時々に私達が対処するから安心して」 「約束ですよ!」 「ふふ、何で怒ってるのよ」  緊張からか私は怒った口調になっていたらしくそれがエルシィには面白おかしく聞こえたらしい。 「さて、ドーラその気体のどんな特長あった?」 「薄紫色の気体だったぞ」 「は、い?」  今日のエルシィは表情が豊かだ、怒ったり悩んだり真剣になったり笑ったりと泣き顔は見せてはいないが、そばに居てとても楽しいと思えたが、ドーラの一言で急に立ち上がられ私は驚いた。
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