碧の声

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「ドーラ、今何色って言った?」 「薄紫色。紬もみたよな薄紫色のあれ」 「あ、うん。薄紫色したガス状のものでした」 「は、い?」  ドーラに聞かれた私が見たガス状の色を答えると、エルシィは返事を返しながらゆっくり椅子に腰かけ首を傾ける。右左右、そしてありえない程に曲げるそぶりに、そろそろ捻らないようにと忠告しないと危険ではと思えるほどに捻った所で、エルシィはもう一度私に向けて聞いてきた。 「ねえ。紬、神仏になにかした?」 「は、い?」  今度は私が驚きで息をのみ込むように返事を返す。 「あのね。気体状のもの自体に色がついていると意味があるの。例えば赤かったら好戦的だったり、青かったら寂しいとかね」 「紫は神様に関係があるんですか?」 「そうなんだけれど、判断が難しいの」 「判断?」 「ドーラが薄紫色って言ったでしょ。それが問題で、私が知っているの紫の気体なら神仏に属していて、もし紫の気体なら、ただその場にいるだけその場から銅像やシンボルの近くで周囲を見守っているんだけれど。それが薄紫色で紬に向かって追っかけてきたって言うのが、どうしてか分からないの」 「正体がつかめないってことですか?」 「私はこの国に来てからは見た事はないわ」 「そんなー」  呪いの次は神仏にまで追われるとは思いもせず私は泣きそうになる。   「紬、お前さんなにをした?昨日の今日だぞ?」 「何も……?あれ、今ドーラ昨日の今日って言った?」  ドーラの言葉に引っかかりを覚え聞き返した。 「ああ、お前さんに昨日の帰る時点では薄紫の物は影も潜めていなかったぞ」 「と、なると」 「ね、紬が家に帰ってから今までに、なにかしたか聞かれても仕方がないわよね?」  今度はエルシィに問い詰められる。 「私、悪いことは一切してませんよ!」 「紬が悪い子でないのは分かっているから、それは考えてもないわ。神仏に対して無意識でしてしまったとか」 「神社に石投げて怒って付け回されたか?」 「そんなことしません!それに投げた事を忘れるってどれだけ記憶力無いと思っているの!」 「じゃあ……お前さん、今日の一日を振り返って教えてくれ」 「あ、うん……」
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