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03
翌日ドーラに言われた通り、私は学校へ向かって歩いている彼女を見かけ声を掛けた。
「おはよう」
「あ、え、お、おはよぉ……」
横並びになりながらも、彼女からは目を伏せられ会話も昨日と同様に続かない。でも、このままでは昨日と同様に神様に近いアレを仕向けられるのは正直辛いからと、私は意を決して話を続けてみた。
「ねえ、この辺りで本屋知らない?」
「え?ほん?」
「うん。私ね、こっちに引っ越しして来たばかりで、住んでいる周辺に本屋がなかったから、知っていたら教えてもらえないかな?」
「……」
聞かれても困らない自然な会話だと思う。不自然な所はないし作り話でもない。現に私は本当に本屋を探していた。ネットで本は買えるが参考書となると実物を見て書き込むためにも必要だから聞いたのだが、彼女は立ち止まり私の顔をじっと見つめて続けられ、私はたまらず話を切り出す。
「もしかしてこの辺りの子じゃなかった?」
「ううん。あ、うん。私の家ここから少し遠いけれど、この辺りは知っているよ」
私の言葉にようやく慌てながら反応を見せ答えてくれた。
「本当?よかった。知らない事を聞かれて困っているんじゃないかって焦った」
「あ、ごめんなさい。そんなつもりは、ごめんなさい」
一生懸命に話そうとする姿に何だか変な緊張感が抜け笑顔になり私は彼女に違うお願いをした。
「ふふ、そんなに謝らないで。偶然にも同じクラスメイトで席も前後ろなんだから、良かったら私と仲良くしてくれると嬉しいな」
そう私が言うと彼女は一瞬驚き満面の笑顔を見せた。
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