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04
「な!」
「ドーラ。そんな自信満々に「な!」だけ言われるとお礼言い辛いよ?」
放課後、少し遅くに社に着いた私は、朝の出来事をドーラに伝えると、何処か得意げな顔をし、たった一文字で返事を返され複雑な気分になる。
「まあ、ドーラのアドバイスのおかげで、何も起こらないようになったよ。本当にありがとう」
「きにするな。でも、これ以上はその娘……何だっけか名前?」
「娘?ああ碧の事?」
「そう、その碧という娘なんだが。……怒らせるなよ」
「怒らすな?」
どこか真剣に私向けて言ってはいるのだが、人形の姿では今一真剣身が薄く感じていると、どこからか笑い声が聞こえてきた。
「ふふふ」
「エルシィさん?どこに?」
私が周囲を見渡すと声はすれど姿が見えなかったが、ミシっという音に驚きながら天井を見上げると、どう言うわけかエルシィが天井から顔を覗かせていた。
私が「どうして、そんな所に」と聞くと「近いうちに人が来るからその用意」と言われ、一体どんな用意なんだと目線を交わしながら不思議に思っていると、エルシィは音もなく地面へとなにも使わずに降りてきた。
音もなく重力を無視したような着地に驚く私を他所にエルシィはドーラに近づき持ち上がながら答えた。
「ドーラは怯えてんのよねー」
「お、怯えてなぞおらん!」
「怯えている?碧に?」
「正確には、その子の声にね」
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