3人の魔法使い見習

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「紬、驚かせてごめんね」 「あの、さっきのは?」 「うん。今、あの中で儀式をしているの」 「儀式は何となく分かったんだけれど。あの中心にいたドラゴンみたいなの、やっぱり……」 「ドーラ」 「……そうですよね」 「ふふ、あの姿を見て、もう少し驚くかと思ったけれど、そうでもなさそうね?」 「一瞬驚きましたよ。童話とかで描かれているようなドラゴンが目の前にいて目を疑ったけれど、ドラゴンの体の色が大きくなった時のドーラその物だったから、驚きが引っ込んじゃいました」 「はは、なるほど。ドラゴンのイメージなら爬虫類と一緒で濃い緑や茶色が掛かっているのに、でっかくなったドーラの全体的に灰色だから直ぐに分かったのね」 「あれが本当の姿なんですよね?」 「んーどうだろ。あれは儀式用だし」 「儀式用?」 「人前で儀式をしていた時に厳粛な雰囲気を出す為に威厳のある外観にしているの」 「確かに普段の格好だと威厳もあった物じゃないかも」  私がドーラのプニプニの姿を想像し言うとエルシィは小さく口を抑え笑った。 「だからあの子たちが帰るまではドーラは儀式用のあの姿かな」 「そうなんですね。儀式……昔に歴史の教科書で見た儀式が今もあるなんて驚きました」 「昔は知らない事は恐れられ、遠ざけられても逃げられない状況下では何かに縋った先が、人ではない存在に儀式と言う形で願い託す。まあ今回のドーラの場合は封印なんだけれどね」 「封印?」  エルシィの儀式の話の中にとんでもない言葉に私は大きな声を上げてしまうと、エルシィはまた自身の人差し指を口元に当て苦笑いを浮かべ私は小声で謝った。 「ごめんなさい」 「説明しなかった私も私だから気にしないで」 「でもドーラが封印なんて……」 「ふふ、私達悪いことはしてないわよ」  私が想像を巡らそうとするが、それを直ぐにエルシィは答えた。 「そうは思っては無いです。けれど、でも封印にいい印象が」 「そうね。何処から話せば良いかな」  エルシィは空を見上げながら考え巡らせ、社の外壁に小さい段差に腰を下ろし、私に手招きして横に座ってと言い「立っていると疲れるから」と笑いながら語り始めた。
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