3人の魔法使い見習

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 いったいどれほど昔なのだろう。 「でね、その魔法使いが私達を見て攻撃するでもなく武器を置いて話し合おうと持ち掛けてきたの。最初は罠かと思ったけれど、たった一人の魔法使いがドーラを見ても揺るがない勇敢さに話を聞く事にした」  私は碧の言霊で見たドーラの手を思い出す。どんなに勇猛果敢な勇者であっても未確認の生物に動揺せざるえないのに、話し合いを持ち込んできた魔法使いに私は驚いた。 「望みは何だと聞かれた私達の要求はただそっとして欲しいだけと伝えたら、その魔法使い驚いたと思った次の瞬間大笑いし始めた。それはそうよね、数多くの討伐隊をなぎ倒してきた連中の願いが、領土とか金品でなく、そっとして欲しいなんて誰も考えない。でも、その魔法使いは私達の願いを受け入れる手伝いをした申し出たの」 「手伝い?」 「んー話の受け渡し役と言えば良いかな?間を持ってくれたの。それでも、国の偉いさんが近隣国まで広がった話を落とし処にするかを悩んだ末。私達をその魔法使いによって退治はできなかったが、ドラゴンの力を封印し手なずけることが出来ましたと芝居して周囲の人々が安心して、一件落着!」  村や国の人を守る為の嘘が有った事まかり通っている事に驚きながら話をきいていた。 「それから魔法が使える力が代を重ねる度に弱くなっても。数十年に一度、私達に味方した魔法使いの力が子孫へ引き継がれると同時に、封印の儀式と継承の儀式を行う為に、あの3人はわざわざ遠くの国から来てドーラの前で儀式をしているの」  エルシィはどこか懐かしそうに優しく言い終えると社の中から声が聞こえてきた。 「ぐおおおおぉぉぉぉ……」  どこか芝居臭いを通り越し大げさな唸り声に、ドーラだと気づき私は耐え切れず吹き出してしまう。 「今の声ってやっぱり」 「ふふ、そろそろかな」  エルシィがそう言うと同時に社から声が聞こえてきた。 「エルシィ様、終わりました」 「はいはい」  エルシィは立ち上がり社へと歩き扉を開けながら言った。 「ドラゴンを祭壇に動かすから皆は外に出て」  その声に「はい」と返事が聞こえ3色のフードを被った少女たちが出てきた。  儀式をしている時とは違いその顔は幼く見え同い年の位の子だった。
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