見える子と魔女と■

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02 「……疲れた」  入学式のあとのホームルームは流れるように直ぐに終わり、友達もできる気配もなく私は真っすぐ最寄りの駅へと向かう。  校門をでて徒歩にして11分遠いようで近い駅までの道を歩く中で、 声も名前も知らない同級生が1人1人曲がり角やバス停に立ち止まりどんどんと少なくなり 最終的に駅に着くころには私以外生徒1人も電車通学をしている人が居ない事に気づく。  バス停に何十人も並んでいた理由が分かったが、電車の利用者数が少なすぎるというよりも皆無だ。  駅構内へ入り私は1人でベンチに座りながら1時間に4本しか出ていない電車が来るのを十分待ちようやくと遠くから音を立てて電車がやってきた。  電車に乗り込むと朝の通勤時間ではないからなのかそれとも元々乗車率が低いのか、車内に女の子が一人いるのをよそ眼に、入学式で疲れ切った私は椅子に座り込みながら目を閉じた。  だが、私が目を閉じる瞬間に見えた”有る物”に引っかかりを覚え、閉じたばかりの目を開け女の子へと視線を向ける。  背格好からして小学高学年くらい身長でボブカットの女の子で、年齢から似つかわしくない動物を模した人形のバッグパックが気になった。
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