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自分勝手な言い分を勝手に並べ恍惚な表情を浮かべている。
私はそんな狂気じみた顔を直視できずに黙ってしまうと、名前の言いたくない人は小さく笑い続けて言った。
「ふふ、それにね。普通に今ここで憑りつこうとしたら、間違いなく魔法使いはやってきて邪魔をする。でもね、紬が承諾契約して拒まれなければ魔法使いに気づかれる前に憑りつくなんて簡単な事なの」
私は公園で一人の状態だったことを思い出す。もし今、魔法を使われたら一瞬で片が付いてしまうことに今更気づき後悔をしたが、名前の言いたくない人は予想とは違うことを言い出した。
「でも、私は優しいから選ばせてあげる。よーく考えてね、昨日の惨劇を見ていたのなら、どっちが理性的、合理的な選択かを」
名前の言いたくない人が昨日ドーラに対して一方的に攻撃した光景がフラッシュバックし心が痛くなった。
「あの魔法使いに何を吹き込まれたのか知らないけれど。憑りつくって言葉から恐ろしいものだと勘違いしていそうだから言っておくわ。憑りつといっても私はすこしだけ力をもらい受けるだけ、今すぐに交渉を受け入れてくれるなら大サービスで、紬が大切にしているあの動物には二度と姿を現さないと約束するわ」
「……本当に少しの力でいいのね」
昨日のドーラの血が滲んでいた皮膚を思い出す。
もう二度と私の為にあんなことになって欲しくは無い。
自身の問題でこれ以上の被害は出したくないと思い、少しの力ならと口にしていた。
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