雨の日

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 その言葉にエルシィは呆れたとばかりに何度目かの溜息をつきながら答えた。 「何もできない?……ああ、奇襲の時のことね。ドーラの解呪していたから私はアナタに手を回せなかっただけよ。それにドーラが弱いですって?バカ言いなさい。あの子がアナタを捻りつぶさなかったのは……」  エルシィが一歩前へ歩き結界の外に出て笑うように言った。 「力を制御されていたからよ」  私はエルシィの言葉にアルス達がかけた魔法を思い出した。  継承の儀の効果でドーラは力が入らない、それ効果を解呪するためにエルシィが社の中にいたのなら話は別だ。 「さて、色々聞きたかったけれど。アナタの声気に障るから終わりにするわ」 「何を!!」  エルシィは手を上へ差し出し小さく嬉しそうに呟いた。 「ドーラ」  その言葉を発した瞬間。  頭上から雷雲が渦を巻き浮かび、そこから禍々しい恐竜の顔をした生き物が現れた。  それを見た私はドーラだと確信し安心した。 「……嘘だろ」  黒い霧はあまりにも大きい存在に動くこともできず、そう言い残しドーラが大きな口で飲み込まれた。  あっけない黒い霧が消え終わりを迎え、ドーラはゆっくりと雲の中へと消えていくと、そこには夏のような透き通った青空が広がっていた。
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