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紬の呪い
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私を苦しめていた呪いの中に、まさかもっと強い呪いが隠されていて途方に暮れた件から2日しか経ってない祝日。
私は先日までのシリアスでファンタジーだった事を忘れるくらいの平凡な日常を送っている。
あ、少し訂正。
平凡な日常ではあるが、私の視界の先には、数百歳は優に超えている何処か不機嫌そうにの製本されていない呪いにかんしての洋書をじっと眺めている魔法使いが大量の本を椅子代わりにしながら、キッチンの隅っこで唸り。
私の横にはプニプニのキャラクター人形のようなドラゴンが、背の低い脚立に立ちながら広いキッチン台でお菓子の土台である薄力粉を短い腕で振るいを掛ける姿を見学していた私は感心するように声を上げた。
「手慣れてるね」
「ドーラお菓子作りの歴が違うからな!」
ドーラと私の生きてきた歴史は全然違うが、キャラクター人形の姿で、こうも手際よく薄力粉を丁寧に無駄に飛び散らないようにテキパキと作業する姿に、人として生物として負けた気になってしまう。
「っふ」
それを察したかのようにドーラは鼻で笑ったが、私を他所に何かに気づいたかのように手に持っていたふるいをキッチン台に置き周囲を見渡し始めた。
「どうかしたの?」
「ああ、砂糖が少ないから予備探してる」
「え、目の前に用意してあるじゃない」
ドーラの前に確かにお菓子作りに必要な物が並べてある。
薄力粉、砂糖、バター、卵にアーモンドやココアパウダーが並べられお菓子を作った事がない身からすれば、十分な量にも見える。
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