見える子と魔女と■

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03  私と女の子は椅子に隣り合わせで座る。 隣あった距離が近く女の子は微笑んでいる。 「……ねえ、あなたアレを背負(しょ)っている知ってるの?」  私が女の子の不敵な笑みに耐えられず聞くと少女から到底思えない低い声色が返ってきた。 「背負ってないぞ」 「え?……――」  女の子から声が聞こえて来ると思っていたら、先ほどのバッグバックの人形から声が聞こえ驚き目まいがする。 「こっちが擬態」  女の子は自身を指して笑いながら言われ私は戸惑ったが直ぐに理解した。 「擬態……()かす意味なら、バッグから女の子まで繋がっているのね」 「お、察しが良いね」 「だって」 「?」 「バックを背負ったまま座っているなんておかしいもの」 「はは、こんな状態でよく冷静に観察できるなんて昨日の子とは思えないな」 「……やっぱり昨日の夢じゃなかったんだ」 「ああ、夢でなく現実だよ」 「……そっか」  私がため息交じりで答えると女の子は驚いた顔を見せ言った。 「それだけか?もっと驚いたり取り乱したり現実を受け入れないものだと思うんだが、 もしや(もの)()のたぐいか?」 「そんなわけない!私は一般な」 「一般の子には昨日の時点で音は感知できても容姿までは見えんはずなんだけれどな」
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