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01
私は駅近くのスーパーの開店と同時に砂糖を3キロ購入し、直ぐに社へと戻ろうと自転車にまたがろう足を上げた時に、聞きなれた綺麗な声に反射的に顔を向けると、学校で私の後ろの席に座っている碧が淡い色の綺麗目な服装で手を振って近づいてきた。
「碧、よね?」
「うん。私、碧だよ。なんで名前聞くの?」
「だって碧の家学校挟んで反対でしょう?どちらかと言えば栄えている町に住んでいるのに、コンビニすらあるか分からない自然豊かなここに、わざわざGWに来るような所じゃ無いじゃない?」
私の疑問に碧は少し困った顔を見せながら、両手で持っていたトートバッグを私に向け見せてきた。
「今からお弁当と書類を届けに行くの」
「お使いかな?」
「正解、よくわかったね」
感心したように驚いて見せる碧だったが、書類にお弁当なんてピクニックとは考えられないから考えなくてもわかってしまったが、碧の喜びように水もさせず私も不器用な笑みを浮かべ碧が会話を続けた。
「こっちにお父さんの働いているの」
「そっか、この辺の会社に勤めているんだね」
自然が広がっていても周辺には何社も会社が有るから、その中の一社なんだろうと私が答えると、碧は首を軽く振りながら何故か困った様子で答えた。
「会社じゃないの神社なの」
碧の言葉に何を言われたのか分からず、私の頭が一瞬にして真っ白になった。
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