夢見る俺たちのオメガバース

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「人のものに手を出すなんて、おいたが過ぎるよ? 木瀬航生くん」  ガタンッ。  ドタンッ。  バタンッ。  激しい物音が三回して、あたりがシンッと静まり返った。  聞こえるのは俺の息遣いと、なにかが垂れるポタポタという音だけ。    頭が、フワフワする。  胸が、ドキドキする。  お尻が、ジンジンする。  望んだ刺激に浮かされていた心が、急に現実に引き戻される。  突っ張った腕の間から垣間見えるのは、淫らな汁に塗れて色を変えたシーツ。  コポコポ。  お尻の穴が、沸き立つ音がする。  ジクジク。  お腹の中が、疼く音がする。  ガラガラガラガラ。  信じていたものが、崩れていく音がする。  ああ。  なんてことだ  夢じゃなかった。  俺は、Ωだ。  これから、どうすればいい?  どんな風に、生きればいい?  わからない。  何も、わからない。  嫌だ。  怖い。  怖いよ。  行かないで。 「ひとりにしないで……っ」  俺は必死に振り返ろうとして、でも、できなかった。
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