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「そこまでいくと謙虚っていうか、卑屈だぞ」
俺は口を尖らせた。ハイセンはメガネをあげて、俺のそばに膝をついた。
「いえ、本当のことなのです。坊っちゃんが私に首輪をつけてくださったからこそ成し遂げられたのです」
「首輪って……」
そんなのつけていない、と睨むと、ハイセンはとろけるような笑みを浮かべた。
「ではいまつけてください」
首筋を俺の口元に差し出す。俺はごくりと唾を飲む。そしてゆっくりと彼の首に歯を当てて、俺の刻印を刻み込んだのだった。
「私」
指先で俺がつけた歯形をなぞりながら、ハイセンが口を開く。
「少し重いので、覚悟なさってください」
全て知っている、と思って混ぜ返そうと思ったが、彼の狡猾な笑みを見て、俺は思わずのけぞった。
彼の愛を、俺はまだ理解していないらしい。
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