異世界転生先でアホのふりしてたら執着されました

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「マルクス……、ああ、マルクス……! いったいどうしてしまったというの」  俺の両親、とくに母親は狂ってしまった息子を見て嘆き悲しんだが、それはそれ、これはこれだ。命には代えられない。仕方ないじゃないか、俺は頭が回る方ではないから、計算尽くでいい人として立ち回ることや断罪返しなんて高度な真似は絶対にできない。また、退場エンドでよくある家出ができるほどの度胸もない。  俺は前世でばりばりの引きこもりニートだったのだ。お家大好き、お布団でごろごろは人生の一部、そして親を泣かすのだって朝飯前だ。  その演技を続けること8年。俺の筋金入りの引きこもりニート作戦は大成功を収め、(裏金で入学した)学園も無事に退学となり、そして婚約破棄を勝ち取ったのだった。 *    というわけで俺は無事に自由の身となったはずだが、今度は別の問題が発生していた。 「坊っちゃん、おはようございます。ハイセンです。入りますよ」 「うー」 「ああ、もう起きていらっしゃったんですね。昨日はよく眠れましたか?」 「あー」
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