異世界転生先でアホのふりしてたら執着されました

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 しかし、せっかく異世界で平穏に生きられることが8年がかりでようやく決まったのだ。そろそろ自由がほしいし、娯楽がほしい。ツインテロリちゃんが怪人と戦うアニメなんかがあれば最高だ。  俺は一計を案じることにした。   その時以来、俺はずっと決行の時を待っていた。  シナリオはこうだ。なんか適当なところで滑って転んで頭を打つ。そうしたらあら不思議、坊っちゃんが8年ぶりに正気に戻ったではありませんか、というわけだ。  大事なのは、だんだんと正気に戻ることではなく、ある日なにかしらの出来事が起きたことによって一気に正気に戻ることだ。そして、狂っていた間の記憶はないということにしてしまえばいい。境界線をはっきりしておけば、ハイセンも自分の醜態を晒したことについて悩まずにすむ。  くぅ〜、俺って冴えてるぜ。 「さあ、坊っちゃん、お風呂ですよ。温まりましょうね」  ハイセンに風呂に連れていかれて、俺は決行のときが来たことを悟る。足元は濡れているし、石鹸やタオルを準備するためにハイセンが俺から離れる瞬間もある。  これはチャンスだ。
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