0人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
ピエモンテには、これは本当に『大人のヒーローごっこ』にしか見えなかった。
付き合いきれないと、言わんばかりの顔で帰ろうとしたとき、ナオトはちょっとだけ待ってほしいとピエモンテが帰ろうとした足を止めた。
「ナオト。これ、どう見ても『大人のヒーローごっこ』だろ。さっきお前がそう言ったじゃないか。バイクだって、危ないから裏庭に止めさせてもらってるし、仕事で疲れているんだ。帰らせてくれ」
納得のいかないピエモンテは、ナオトにイラつきをぶつけた。
しかし、ナオトはそんなのお構いなしに、『神魔約書』を広げ、お告げであろう天地創造の部分を広げた。
「ピエモンテ。歴史は繰り返されるというけれど、もし、これが、本当に神のお告げであって、お告げを無視したら…世界がまた崩壊するぞ」
宗教のこととなると、ナオトの目つきは、取りつかれたように変わる。
イースの人間は、本当に、一神教で神を崇め、神のお告げを信じ生きてきた。
今までも世界全体で起こるであろう地震や大洪水など、天変地異を何ヶ月も前に言い当て、全ての国伝達し、対応してきた実績がある。
本来は、神のお告げは、イースの神官を経由し、全ての国の軍の総司令官に伝達され、国民に伝えられる。
そのはずが、どこの国にも属していないアテムにお告げがあり、このように軍員表まで出来上がっていることに、ナオトは違和感を感じた。
「これ、本当に神様からのお告げだろうな…?」
ナオトが『神魔約書』を手にしながら、アテムに詰め寄ると、アテムは少々汗をかきながら、間違いないといった。
「いつ、どこで、どういう状況で聞いたんだ。嘘なら、俺がお前をイースまで連れていき、生贄ではなく、神への冒涜として処刑にされるぞ…」
すごい剣幕でナオトはアテムにさらに詰め寄ると、アテムは、夢で見たことや、そこで言われたお告げを一語一句間違えず、ナオトに伝えた。
ナオトはそれをメモし、『神魔約書』の天地創造とじっくりと見比べはじめた。
「おい…まだ、終わらないの?…朝になったら、イースの神官にそのまんま伝えればよくない?」
最初のコメントを投稿しよう!