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「本日の神様からのお告げは、神魔約書の第十章『破壊と再生』です。神は人間の行いに怒り、世界を一度破壊した。しかし、焼野原となった地球を見た神は、酷く悲しみに落ち、再び地球を造られた。まず、東に国を作った。東の国に光りと水、動物を作り、最後に人間を作った。東の国の人々は祭壇を各所に作り、神に生きる幸せ、食べる喜びを感謝し伝えた。神は祭壇に降臨し、喜ぶ人々にこう言われた。“この肉や野菜は全て命を頂いているのだ。くれぐれも神ではなく、生贄となった命に感謝しなさい”と。それから、東の国の人々は生贄を神に捧げ、さらに感謝と幸せを捧げる儀式を行うようになった」
神魔約書を読み終えた頃に、ラムエは退屈になり居眠りをはじめていた。
ナオトは肘でラムエをつっつき、起こした。
「…はっ!」
「今日のお告げの部分は、今年の儀式の事を話すんだぞ。ちゃんと起きてないと」
ナオトもそうだが、他の国民も、この神魔約書が毎年読まれる時だけは、いつも以上に真剣に、神官の言葉に耳を傾けていた。
そして、神官の言葉は続いた。
「今年も親愛なる神々に、生贄を捧げ、国と地球の繁栄に感謝を捧げます。神聖なる生贄になる者には、ひと月前に、我々神官が直々に神のお告げをお伝えに参ります」
イースでは、毎年、冬の季節になると、祭壇を作り、神に10代〜30代の男女を1人ずつ選び、生贄を神に捧げる儀式が行われる。
生贄として選ばれた者は拒否することができず、拒否をすれば公開処刑が待っている。
「これも毎年伝えているが、チャクリスではない人間でも、生贄の対象となった場合は拒否権はない」
神官のこの一言で、聖堂内はざわつき始めた。
中にはすすり泣く声も聞こえる。
生贄にされた家族も数多くいる。
しかし、神の生贄に選ばれることは非常に名誉なことであり、生贄に選ばれた家族には、好待遇が待っていた。
ある意味、家族を“生贄の犠牲”にされても、好待遇を狙う悪い一家もいる。
「この神様は、一万年以上前から、我々の世界を壊し、再び再生させ、生きる機会をくださった方だ。今年も儀式は通例通り行う」
神官が力強く、手を指した向こうには、聖堂の祭壇の壁に何かが飾られている。
人形のようなモノは人形ではなく、太古から崇められている神の姿だ。
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