3話 礼拝にて

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再びパイプオルガンを神官が弾きはじめ、全員が立ち上がり、神に捧げる歌を歌い始めた。 歌が終わると、ここで、礼拝は終了した。 礼拝が終わると、ナオトはすぐに、神官の元へ走っていった。 ラムエは普通に置いて行かれた。 他の国民たちは、聖堂からどんどんいなくなり、聖堂にはラムエ1人になった。 ラムエは、聖堂の壇上の前まで行き、飾られている神の姿をじっと見た。 「やっぱり…さっき、礼拝中に見た小さいのと、似てるかも…。あの影も似てるかもしれない」 ラムエが神の姿を見ていると、一人の神官がやってきた。 「そこで何をしている」 チャクリスでないラムエを、やや睨むように見てきて、ラムエは思わずびっくりする。 「えっと…なんかすごいなって思いまして。この神様が、地球と人を造られたんですよね?」 「そうですよ。この神様が、地球と人を作り、さらに4つの国を作られたんです」 神官はラムエに敵意がないと分かると、少しだけ心を和ませながら話を続けた。 「この神様は、私たちのことを、どこかでずっと見ていらっしゃる。だから、悪いことも、良いことも、全てお見通しなんですよ」 「へぇ~…神官さん」 ラムエは、神様を見ながら、もうしばらく神官と話を続けた。 「なんでしょうか」 「私には、この神様…土偶と土器に見えます」 すると、神官はやや怒りを露わにし、ラムエに向かってこう言い放った。 「土偶や土器と呼び捨てにするでない!そもそもなんだ!土偶やら土器とは!この国に存在していないものだぞ!それに、神を訳の分からぬ呼び方で呼び捨てにするとは、何たる冒涜!」 やがて神官はものすごい剣幕で詰め寄り、神に懺悔しろと言い始めたのだ。 怖くなったラムエは、聖堂から逃げ出した。 神官は逃げ出したラムエを追いかけた。 「イースって国、怖すぎる…!!!ナオトには悪いけど、もう、この国から出たいよ!」
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