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「寄生虫が寄生している相手を操るなんて、そんなことができるんですか?」
「ええ、最近では寄生虫が様々な化学物質によって宿主を操っていることが分かってきています。ハリガネムシの場合、宿主の脳を調べると、光への反応を異常にする作用があると考えられるタンパク質がいくつか見つかったんです。それらが本来は水を避けるはずの陸生の昆虫に、入水という異常行動を取らせるわけですね」
「怖いけれど、とても面白いですね……。ところで先生、そもそも水辺にいないはずのカマキリに、水中で繁殖するハリガネムシがどうやって寄生するんですか?」
「いい質問ですね。食物連鎖のおかげなんです。水中で孵化したハリガネムシの幼虫は、まずカゲロウなどの水生昆虫の幼虫に食べられます。そしてその体内で殻を作り、シストと呼ばれる休眠状態に入る。この状態だとマイナス三十度の低温にも耐えられるそうで、もちろん消化されてしまうこともありません。やがて寄生した水生昆虫が羽化してカマキリなどの陸生のより大型の昆虫に捕食され、その体内で休眠から覚めて成長するわけです」
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