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柏木は新たに置かれた丸テーブルを囲むように椅子を五脚並べると、紙を細長く切って数字を書き込み、五枚の籤を作った。
「籤引きで座る位置を決めるので、一枚ずつ引いてください」
綾部を除く男性五人は柏木の言葉に従って順に籤を引いた。
「では次に、お座りいただく席に番号をつけます。そうだな、ここは堂島警部補にご協力願いましょう」
柏木は再び紙を切って、一から五までの数字の書かれた番号札を作ると、傍らの堂島に手渡した。
「堂島さん、これをお好きなように五つの席に置いてください」
「番号順でなくて構わないんですね?」
「ええ、ランダムに配ってください。番号を見る必要もありません」
堂島が番号札を配り終えると、柏木は五人に声をかけた。
「では、ご自分が引いた紙に書かれた番号の席にお掛けください」
五人が席につくと、柏木はプラスチックの筒を一本手に取ってコガネムシを取り出した。
「すでに申し上げた通り、このコガネムシは香水の匂いに引きつけられます。どこに向かうか、確かめてみましょう」
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