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「それで、タツノオトシゴを改札の機械に押し付けてる人がいてですね」
「なんだって?」
このアパートに住まないにしても、マンションの方を買うのは確実なので、ちょっと付近を散歩してみるか、と錦は朝のランニングに出ようとした。
すると、隣のドアが開き、先ほどの不思議な会話が聞こえてきたのだ。
なんだって? と訊き返した男と同じくらい自分も話のつづきが気になったが。
隣の住人はこちらに気づき、話をやめてしまった。
「あっ、こんにちおはようございます」
途中でまだ朝だと気づいたのか、そんな挨拶をしてきたのは、可愛らしい顔をしたモデル体型の女の人だった。
その横にいるのは、長身のイケメン。
二人とも品が良く、錦は思わず、
ここの住人は、確かに、『リバーヒルズガーデン』な感じだっ、と思った。
「隣の住人いるじゃないか」
「ほんとですね。
私も知りませんでした」
と話す二人に、錦は慌てて、
「あっ、すみませんっ。
違うんですっ」
と説明をする。
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