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嘉子の向こうに対岸の夜景が見えて綺麗だった。
明るく光を灯した大きな船が止まっているのも見える。
電話を切った嘉子は笑って、こちらを振り向いた。
だが、目が合った瞬間、笑顔をこらえ、なんとか小難しい顔を作ろうとするので、笑ってしまった。
「なに笑ってるのよっ」
「いえ……」
「さ、食べたら、さっさと帰るわよ」
このあとの予定ができたようだ。
「そうだ。
まだあんたの愉快な話を聞いてないわ。
今すぐしなさいよ」
「……無茶言わないでくださいよ」
と言いながら、砂月は残ってたワインを呑んだ。
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