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「目を離したら、迷子になるかもしれないし」
こんなところで?
「そういえば、うちの親とか手をつないで歩いているカップルを見たら、あれは手を引いてもらわねば、一人で歩けないのかとか言うんですけど」
「俺も前までそう思っていたが。
今はつなぎたくなる気持ちがわかるな」
「あ、そういえば、おじいちゃんおばあちゃんで、つないで歩いている人、いますけど。
あれは可愛いですよね」
と言うと、高秀はふと思い出したように、
「可愛いで思い出した」
なにをですか?
にゃん太郎ですか?
タコの霊ですか?
イカの霊ですか?
むぎゅっと改札の機械に押しつけられているタツノオトシゴですか?
と思ったが、高秀はこちらを振り向き、大真面目な顔で言った。
「すまない。
朝から、お前のこと、可愛いと思ってたけど。
忙しくて、口には出してなかったかもしれない」
いや……。
そ、そうなんデスカ。
「ア、アリガトウ ゴザイマス……」
と砂月は何故かカタコトの言葉になりながら、照れて俯く。
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