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ある日、博士のコメントで
今、開発中の装置を試運転しいる。
すぐ潤の街に影響が出るはずだと連絡が来た。
潤は咄嗟に外に駆け出た。
雨天を見上げ、異変を探す。
見慣れた街といつもの雨・・
「あ!」
その瞬間
煌めく閃光が分厚い雨雲を引き裂き
真っ青な空が姿を現した。
みるみるうちに街の天井は
真っ青な空に支配されてゆく。
と、触発されたようにじわじわと
空気が熱されムシムシする。
雨が上がったのだ。
初めて見る灼熱の太陽
まとわりつくような気だるい空気・・
憧れ夢見た雨上がり・・
・・の、はずだった・・・
のに、こんなはずじゃ・・なかった
変わりゆく世界・・
街はどんどん干からびてゆく・・
暑さでゆらゆら歪む空気の向こうから
博士が乗った大型のバンが
パラボラアンテナを派手に稼働させながらやってくる。
「虹だ! なんて綺麗! 大成功よ!!」
有頂天の博士がサンルーフから顔を出した。
ピシューーン
博士のおでこのど真ん中から黒煙が一筋昇った。
笑顔がピタリと止まる。
そして、ふっと崩れ落ちた。
すぐさまどこからともなく
防護服を着用した街人が現れると速やかに博士を運んでいく。
あっという間に何もかもなくなった。
と、静かに空気が湿り始め
気狂いじみた青空が暗雲に覆われてゆく。
干からびた街に潤いが戻り始めた。
街の人の安堵のため息が聞こえる。
しとしと降り止まぬ雨
この街の雨上がりは縁遠い
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