0人が本棚に入れています
本棚に追加
「・・潤、ご飯よ」
背後からふっと母親の声が湧いてきて
慌ててラップトップを閉じた。
「潤たら、また見てたの? 雨は止まないからいいのよ」
「わかってる」
そう言いながら
この街に雨上がりが来たらどんなに素敵だろうと
想像せずにはいられなかった。
夕食後、パソコンを開くと
博士からコメントが届いていた。
「潤、これは提案なんだけど
雨雲を払う装置を開発中で実験する地域を探している。
潤の地区に行ってみようかな?」
と、いうものだった。
「博士!すごいよ!僕の住所は・・」
なんの躊躇いもなく住所を送る。
「僕の街に雨上がりがくる・・!」
この雨が上がる。
生まれて初めて見る雨上がりは
どんなものなんだろう・・
今まで見た数々の映像を思い起こしては
どんよりとした街に降り注ぐ雨の雫を眺め
まだ見ぬ雨上がりの様子に想いを馳せるのだった。
最初のコメントを投稿しよう!