第一章 腐れ縁の彼

10/14

253人が本棚に入れています
本棚に追加
/58ページ
とある事情でやっと本気で痩せようと思いダイエットを頑張った。そして約一年の壮絶な戦いの末、身長163センチで体重80キロあった体は見事48キロまで落ちたのだった。 しかしそこで私は思わぬコンプレックスを背負うことになった。それは減量した分の弛んだ肉と肉割れ線。細くなった体について回ることになったこれら負の遺産のお蔭で私は人に裸を見られるのがとても怖くなってしまったのだ。 そんな頃に再会したのが初恋の彼──竹ノ原豪(たけのはらごう)だった。 中学の同窓会で五年ぶりに再会した彼は痩せた私を見てとても衝撃を受けていた。そしてその驚きの勢いのまま私に交際を迫って来た。内心嬉しいと思ったけれど、どうしても中学生の時の告白の悪夢を思い出し素直に『うん』とはいえなかった。 それでもしつこく言い寄って来た彼に彼女にはなれないけれど友だち以上恋人未満の付き合いならいいと高飛車なこといってしまった。 以来、事ある毎に誘いを受けて遊びに行ったりお互いの家を行き来する様になり次第に男女の関係になってしまっていた。 ただし私は彼の前で裸を曝け出すことが出来なかったのでセックスの時はいつも服を着てとか、真っ暗闇の中でと何かしらの注文をつけていた。 (それで文句をいったなら彼との付き合いもそれっきりだと思っていたのに) 彼は文句をいう割に私のこのやり方をずっと受け入れて来た。だから私も流される様に彼から求められれば受け入れてしまうという、何ともいえないグダグダな関係が続いていた。
/58ページ

最初のコメントを投稿しよう!

253人が本棚に入れています
本棚に追加