第一章 腐れ縁の彼

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彼は私が読者モデルのジュジュだと知ると益々執着した。私が且つて彼のことが好きだったのを逆手にとって私に甘えながらも時々は強引に私を翻弄するのだった。 「なぁ、寿々。俺たちいい加減ちゃんと付き合おうぜ」 「……」 陽が昇ってお互い完全に目が醒めた頃、簡単な朝食を摂りながら他愛のない会話をする。 「寿々だって俺のこと好きなんだよな。中学ん時、俺に告白しただろう? 好きって気持ちはあるよな」 「そんなのもう七年前の話じゃない」 「じゃあおまえはなんで俺と付き合ってんだよ」 「付き合っていないよ。単なるセックスする友だちってだけで」 「セフレ扱いかよ」 「……」 彼が急にこんなことをいうのは珍しかった。 「……はぁ」 「何よ、何かあったの?」 ため息をついた彼に譲歩して優しく問い質した。 「実はさ俺、告白されてさぁ」 「──は?」 (何よ、突然) 「高卒で入って来た新入社員でさ俺が教育係になってんだけどその……好きだって告白されて」 「……」 「彼女いるんですかって訊かれてもうんともううんとも答えられなくて迷ってよぉ」 「……」 「寿々との関係って、うんっていっていい関係なのかなとか色々考えたらそのまま返事保留にしちまってて」 「……」 「俺は寿々のこと好きなんだぜ? おまえ、美人だしスタイルいいし、元とはいえ読モしてた訳だし彼女だって紹介すれば自慢出来るじゃん」 「……」 「だけどさぁ、おまえ、なーんか煮え切らないじゃん。こういう関係になってもうじき二年だぜ? 俺、おまえが何を考えているのか分からなくてさぁ」 「……」 「なぁ、もしかして中学ん時フッたこと根に持ってて焦らしてんのか? もしそうだとしたら俺、謝るからさーいい加減付き合──」 「……け」 「は?」 「出て行け!」 「わっ、な、何だよ突然っ」 私はテーブルに置いてあったティッシュボックスやテレビのリモコン、布巾や箸を彼に投げつけた。
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