第一章 腐れ縁の彼

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「あんた、馬鹿じゃないの?!」 「な、何がっ」 「他の女に告白されてどうしようって……よくもそういう相談を私に出来るわね!」 「はぁ? 包み隠さず報告している俺は誠実だろう?!」 「馬鹿ッ! 本当に馬鹿だ!」 (本当に私と付き合おうと思っていたら告白を受けた時点で断るものでしょう?!) 彼女という肩書ではないにしろ付き合うことを真剣に考えている女がいるなら告白なんて断るものだ。 「寿々っ」 「どうしようなんて悩んでいる時点であんたは私に本気じゃないんだわっ!」 「!」 私は泣きたい気持ちをグッと堪えて気丈に告げた。 「もう金輪際此処には来ないで! 二度と私の前に姿を見せるんじゃないわよ!」 そういうとトイレに駆け込んで鍵を掛けた。泣き叫びたい気持ちを押し殺してただ何をするでもなく便器に座ったまま顔を伏せた。 やがて廊下を歩く足音が聞こえトイレの前を通り過ぎる時に小さく『じゃあな』と声が聞こえた。 玄関ドアが開く音がして、そして無機質な金属音が私と彼との関係を断裁したのだった。
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