第一章 腐れ縁の彼

14/14

255人が本棚に入れています
本棚に追加
/60ページ
コンプクレックスである素の肉体を晒すことが出来ずに鎧を着込んだまま高飛車な態度で彼を受け入れてしまった。本当なら全てを曝け出してそれでも私を抱きたいかどうかを問うべきだったのだ。 彼との関係が続けば続くほど本当のことがいえなくて、晒せなくて、素直な気持ちにはなれなくなっていた。 ズルズルとあやふやな関係のまま年月は過ぎ、そして──…… 「はぁ……もう、やだぁ……」 きちんと彼氏彼女としての関係になりたいと心の何処かで思って来たけれどその結果がこの様だった。 (こんなことになるならもっと早くに……) あの二年前に再会したところからやり直したかった。 『付き合って欲しいって? でも私、ダイエットのし過ぎで余った皮とか凄いんだよ? 肉割れ線だってあるし。それでもいいの? ひかない?』 そう素直にいえていれば少なくても体に関してのコンプレックスで卑下した気持ちにはならなかっただろう。 そこで彼がひけば付き合っていなかっただろうし、それでもいいと受け入れてくれたら私たちはもっと早くに彼氏彼女という関係になっていたと思う。 (最初から……間違っちゃったんだ) 今更悔やんでも仕方がないと分かっていても、どうしたって泣きたくなる気持ちを抑えることは出来なかったのだった。
/60ページ

最初のコメントを投稿しよう!

255人が本棚に入れています
本棚に追加