第二章 嫉妬深い彼

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「本当信じられない! すずをフるとか──ってか何様よ、そいつ!」 「いや……元をただせば私が本当のことをいっていなかったからさ」 「……すず」 私が体に関してコンプレックスを抱いていることを円加はよく知っていた。だからか私がこの顛末に至った経緯を話すと上がっていたテンションは見る見る下がって行った。──そして 「よし! 忘れな!」 「え」 いきなり飲んでいたグラスをドンッとテーブルに置き声高らかにいった。 「すずのありのままを受け入れてくれるいい男はいっぱいいるよ。若いんだからサクサク次に行かなきゃ!」 「……えんちゃん」 「肉の弛みのひとつやふたつ、肉割れ線の3つや4つ、そんなものをヘとも思わない器の大きな男がきっといるからさ、頑張ろうよ、すず!」 「……」 (変わらないな、えんちゃん) 円加はまるで自分のことのように私のことを真剣に考え、そして勇気づけてくれる。彼女だって私とは比較にならない程の深い傷を心に抱えているというのに。 (あぁ……しっかりしろ、私) 友人の励ましに思わず涙腺が緩くなってしまった。
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