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課長に手伝ってもらったおかげで20時前には作業は完了することが出来た。
「課長、本当にありがとうございました」
「いやいや、大したことをしたわけじゃないから」
「それでもありがとうございました」
課長と話しながらロビーを抜け会社を出ると真っ暗だった。
「陽が暮れるのが早くなったね」
「そうですね。夜でも寒い日の方が多くなって来ましたし」
「香村さんは電車通勤だっけ?」
「はい。課長は──」
言葉途中でいきなりクゥゥ~~とお腹が鳴った。
(嘘っ! このタイミングで?!)
恥ずかしくて一瞬で顔がカァと赤くなった──ような気がした。
「あぁ、お腹空いたよね。もう20時だもん」
「き、き、聞かなかったことにしてくださいっ」
「なんで? 腹が減ったら鳴るのは健康な証拠でしょう」
「そうなんですけれど、そうなんですけれどぉぉ~~~」
(課長に女心を分かってというのは無理な話なの?!)
なんだか飄々としている課長の前で恥ずかしがっても仕方がないのかなと思ってしまった。
「ご飯、食べに行く?」
「──え」
急に課長が私の顔を覗き込むようにいった。
「晩ご飯。僕も今から家に帰って食べるの面倒だから何処かで食べて行こうと思っていたんだけど」
「面倒って……課長の奥さん、ご飯作ってくれないんですか?」
「え、奥さん? いないいない。僕、寂しい独り身だから」
「そうなんですか?!」
とても驚いた。だっててっきり妻子持ちだと思っていたから。
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