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「ぃらっしゃいませぇぇー」
独特のイントネーションの挨拶に迎えられ課長とふたりで案内されたカウンター席に座った。その途端に店主と思われる男性が私たちの前に立った。
「あれ、 やっちゃん。なになに、今日はえらい別嬪さんを連れて来ちゃってぇ」
(や、やっちゃん?!)
いきなり課長に対してされた気さくな話しかけに驚いた。
「ちょっと、その呼び方止めてくれない? 一応部下の前なんで」
「部下! こんな美女が部下っ! くぅぅぅ~~~いいなぁ~やっちゃん」
「だから呼ぶなって」
カウンター内の男性と課長はやけに親しげに会話が弾んでいた。
「あの……課長」
「あぁ、ここ友人の店なんだ。中学高校と一緒だった」
「そうなんですか」
「どうも初めまして。やっちゃんの親友の岡本です。以後お見知りおきを」
「見知らなくていいからね」
「おいおい、やっちゃん! オレにも美女のお裾分けさせてくれたっていいじゃんか」
「そういう馬鹿なことをいっている間にラーメンの注文取ったらどうなの」
「あー話逸らした! ちくしょー独り占めしようって魂胆見え見えだぜ、やっちゃん」
「何いってるの。職務放棄するなら出て行くよ」
「あぁ、嘘嘘、行かないで! 食べてって!」
「ふふっ」
岡本さんと課長のやり取りが面白くて思わず笑ってしまった。
「かぁぁ~、美女は笑い方も美女なんだなぁ~。ご注文は何にしますか」
「えぇっと……何がいいかな」
壁に掛けられているメニュー表を目で追っていると「オススメは味玉醤油ラーメン」と横から課長がいってくれたのでそれを注文した。
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