第二章 嫉妬深い彼

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(わぁ、時間ピッタリ)なんて思いながら道路脇に停まっている車を凝視していると「もしかして彼氏?」と課長に問いかけられ、恥ずかしいなと思いながらも素直に「はい」と答えると課長はにっこりと微笑んだ。 「いいねぇ。思う存分彼氏に甘えて来なさい」 「!」 おじさんがいいがちな野暮ったい台詞なのに何故か課長が言うと清々しく聞こえるのは何故だろうと思った。それと同時ににこやかに手を振って去って行く課長の姿を見送りながらもしかして課長は私のことが──なんて一瞬でも思ったことが恥ずかしかった。 (だって私にだけみんなとは違うお土産をくれたりラーメン奢ってくれたりしたからてっきり……) そういったことからひょっとして好意を持たれているのかも、なんて自惚れていたのだ。 (あぁ、恥ずかしい! すみません課長、勘違いしていました~~~) 改めて心の中で課長に対して手を合わせながら停まっている岸岡さんの車へと寄って行った。 「すみません、わざわざ迎えに来てもらって」 車の助手席に乗り込みながら運転席の岸岡さんに声を掛けた。 「なんで謝るの。誘ったの俺だし今日は午後から休みだったから全然平気だよ」 「そうなんですね」 シートベルトを締めながら相槌を打っていると不意に顏に手が掛かりグイッと岸岡さんの方に向けられた。
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