第二章 嫉妬深い彼

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「一度思い出したらもう怖くなって……微かにあった好きっていう気持ちもすっかり消えて無くなっちゃった……」 「……」 「本当は……最初から分かっていたのかも知れない。好きな人だっていうのに……彼氏になったっていうのに私の全てを晒せ出せなかった時点で本当は私、心の何処かでは彼のことを受け入れていなかったんじゃないかって……」 「……すず」 絞り出すように話す私を円加がギュッと抱きしめてくれた。 「~~~ふぇ……え、えんちゃん~~~」 「よしよし、泣きなさい。思いっきり泣いて今日までのすずは明日からのすずの一部として吸収しちゃおう」 「うん……うん、うん……」 私と円加が知り合うきっかけとなった自己啓発セミナーは当時私が患っていた心の病を診てくれた精神科の先生が紹介してくれたものだった。その時の私は今では想像がつかないくらいに心を病んでいて酷いトラウマと戦っていた。 そんな私を救ってくれたのが円加という存在だった。私が陥ったトラウマの原因を知り、共に克服するために頑張ってくれた。 同じような心の傷を持つ者同士、その絆はとても深いものだと思っている。 雑誌の読者モデルになったのもスカウトされてどうしようと悩んでいた私に円加の『折角手に入れた体なんだから大いに使うといい』と変なオススメをしてくれたおかげだった。
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