第一章 腐れ縁の彼

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「ちょっと!」 「はぁ~~~やっぱいいなー、寿々の感触」 「もう、あんたこそ酔ってんの?! 放してっ」 「ヤダぁー。ねぇねぇチューしよ」 「嫌」 「なんでーツレないこというなよー」 「あんた、疲れ過ぎてハイになっているでしょう!」 「ん゛~~~せーかい!」 「サッサと寝ろ!」 パァンと思いっきり頭を叩くと彼は私に覆い被さったまま果てた。 「……」 動かなくなった彼をしばらく観察していると寝息が聞こえて来た。 (……寝たか) 私は起こさない様に彼から抜け出し寝室へ行き枕と毛布を取って来た。下半身を三和土に投げ出し寝ている彼の頭に枕を置き毛布を掛けた。 (熟睡してる。これは朝までコースだな) またもや浅くため息をつきながら彼をそのまま放置してシャワーを浴びに向かった。 少し熱めの温度設定のシャワーを頭から被っているとふいに記憶が蘇った。 『え……は? お、おまえ……もしかして香村? う、嘘だろぉ?! おまえ、なんでそんな──って、本当に本当に香村寿々子なのか?!』 あの衝撃的な再会から二年。出来ればあの時からやり直せたらいいのになと思ってしまう。 (まぁ、今更後悔したって仕方がないんだけれど……) 何度も後悔したことをまたしても思い出してしまってふらつくまで頭を振ってしまったのだった。
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