第四章 本当の恋人

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──こんなセックスをしたのは生まれて初めてだった 醜いと思っていた体は愛する人に散々愛され、それによって私自身がこの体を愛おしく思えるようになってしまった。 「……ん」 薄っすらと開いた目にぼんやりと薄暗い室内が映った。 (……まだ夜? それとも……朝?) ほんの数秒ボーッとしていると不意に感じた温もりに急速に目が覚めた。 「起きたかい?」 「や、康隆、さんっ」 昨夜の余韻のまま裸で眠っていた私の胸は康隆さんの大きな掌の中で形を変えていた。 「ふふっ、先が硬くなって来た」 「んっ」 「本当に柔らかいなぁ……最高の触り心地だ」 「……おじさんくさいです」 「ん?」 向かい合わせて寝ていた康隆さんに軽口で続けた。 「そういうこと、一々いわないでください。言い方がおじさんくさくて恥ずかしいです」 「だって本当にそう思うんだから仕方がない」 会話していても康隆さんの私の胸弄りは止まない。 「や、康隆さん」 「夜明けまではまだだよ。もう少し寝ていたら」 「到底寝かせてもらえそうにない行為を受けているんですけ、ど……んっ」 不意に太腿に当たったものが硬かった。 (あ……これって) ダイレクトに感じてしまった逞しいモノにカァと顔が熱くなった。 「昨日散々したのにね。歳だと思っていたのに意外とコッチはまだ若いみたいだ」 「そ、そぅ、ですか」 「だから、ね」 「~~~」 康隆さんが何を求めているのか分かってしまい、顔の熱さは益々温度を上げた様な気がした。 そうして私たちは飽きもせずお互いを求め合うことに躍起になってしまったのだった。
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