第一章 腐れ縁の彼

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私は生まれた時から可愛いと賛辞を受けながら育って来た。 共働きの両親に代わって私を面倒見て来た祖父母は私を溺愛し、主に食事方面での甘やかしは壮絶なものがあった。 両親を始め、祖父母も揃って『これはヤバいんじゃないか』と気がつく頃には私はすっかりコロコロと太った健康優良児体型になっていた。 幸い顔が可愛かったせいなのかどうかは分からないけれど酷い苛めに遭うこともなく、そのままの丸い体型を維持しつつ中学校に進学した。そして其処で出会った男子に初めて恋をした。 彼は私の体型を馬鹿にしつつも他の女子と変わらない付き合いをしてくれて、そんな性格にも好感を持ち、中学三年間彼に想いを寄せ続けた。 そして中学校を卒業する時、別々の高校に進学することになった彼に思い切って告白をした。だけど彼の返事は『NO』だった。 友だち以上には見れない、彼女として付き合うのは無理だとやんわりといわれたが、その端々からは『痩せていれば付き合ったのに』という気持ちが窺えてしまった。 初恋に玉砕した私はそれでもまだ本気で痩せようとは思わなかった。ありのままの私を受け入れてくれる人が必ず何処かにいるのだと信じて疑わなかったからだ。 そして高校に進学した私に奇跡のような出会いがあったのだけれど……──それは又の機会に話そう。
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