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僕の覚悟
もう、カウントダウンは始まってる。
いつ、その印籠を突きつけられるか毎日ハラハラしてる。
今日も部活帰りに自転車置場でカイ先輩を待つ。向こうからやってくるカイ先輩のあとを追いかけてくるマナミ先輩が健気だ。
今日かな、明日かな。
今日も変わらない1日。
これがいつまで続くかなんてわからない。
僕の大好きなカイ先輩は本当によくモテる。でも飽きっぽいと噂の人だから…。
どうせそのうち僕だって飽きて捨てられる身だと覚悟してる。
気まぐれなのはわかってる。
この想いを昼飯の賭け事のネタにされた僕は大好きだったくせにカイ先輩を振った。
なのにあの日、カイ先輩がどういうわけか僕に告白してきた。
『俺たち両想いだから。』
耳を疑うってこういうことを言うんだろうか。
その言葉の意味がわからずに僕はパニックになった。
それから多分、なにかを言い返したような気はするけれど、今となっては何も思い出せない。
覚えているのは脳を溶かすような甘い甘いキスの味。
『恋のレクチャー』という名の僕の密かな恋はなぜかそんな風に形をかえた。
そして気がつけば、僕たちは『練習』なんかとはまるで違う、溶けて無くなってしまいそうな濃厚なキスをしてた。
僕はその日初めて、愛おしい人と本気のキスをした。
このまま僕たち二人とも溶けて無くなればいいのに。出来ればずっとそうしていたかった。
あれから僕たちは変わらずこうしてそばにいる。
カイ先輩は突然思い出したみたいに僕にキスをしてくる。
きっとまた、退屈しのぎに僕をおもちゃみたいにして遊んでるんだ。
もう、それでもいいと腹をくくった。
だって、好きだから…。
こうして今日も僕は大好きな彼を目の前にして彼の遊びに付き合っている。
気が向くとしてくる彼のキスに溺れた僕はもう、その沼から抜け出せなくなった。
いいんだもう、これで。
愛してくれているうちに気が済むまで愛してもらおう。
彼がいつか僕に飽きるまで、愛されてやろうじゃん。
だけどカイ先輩がいつか僕から離れていったら、僕は何を思うんだろう…。
あと半年もしたら、先輩は部活を引退する。
その先も、僕たちに未来はあるんだろうか…。
大丈夫。もう、覚悟はしてる。
いつ振られたって、いつ捨てられたってもう、心の準備はしてるから。
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